当サイトでは、商品やサービスの紹介にアフィリエイト広告を利用しており、リンク経由での購入や申込により運営者が報酬を得る場合があります。購入や利用に関する規約・条件は、各リンク先の公式サイトの内容に準拠します。品切れの場合もございますのでご了承くださいませ💦
混迷の戦場に立つ者たち
地下深くでうごめく怪人協会。その中心で、かつて人間だったガロウは、もはや人とも怪人とも呼べない存在へと進化を続けていた。彼の拳には、もはや理性よりも本能が宿り、破壊の連鎖を生む。S級ヒーローたちは命を賭して突入し、未曽有の大規模戦闘が始まる。地上も地下も関係なく、全てが混沌の渦へと飲み込まれていくのだ。
これまで点で描かれていたヒーローたちの戦いが、いま一つの線となって交錯していく。タツマキの超能力が空間を歪め、アトミック侍が鋭い剣閃を放つ。その一方で、ヒーロー協会内部の脆さや、組織としての限界も浮き彫りになる。信念だけで立つにはあまりにも過酷な現実が、目の前に突きつけられる。
崩れゆく秩序、揺らぐ正義
「正義とは何か」――その問いが22巻の随所に散りばめられている。ガロウは「悪」を自称しながらも、どこか人間的な情を失ってはいない。弱者を守るような行動を見せたかと思えば、次の瞬間には破壊者として猛り狂う。その矛盾こそが、彼を単なる敵役ではなく、複雑で魅力的な存在にしている。
一方で、タツマキの内面にも変化が見える。強すぎる力を持ちながらも、仲間を守りたいという優しさが垣間見える瞬間がある。戦いの最中にこぼれる彼女の一言が、緊迫した空気の中に人間らしさを感じさせ、読者の心を掴んで離さない。ヒーローたちの信念は折れそうになりながらも、確かに燃えている。
ガロウの孤独と、サイタマの静寂
一方、サイタマはこの地獄のような戦場にありながらも、いつもの調子で淡々としている。しかしその無表情の裏には、誰にも理解されない“孤独”がある。圧倒的な強さゆえに、誰とも真正面からぶつかることができない。そんな彼に、ガロウという存在が何をもたらすのか。22巻では、その構図が静かに、しかし確実に動き始めている。
対照的に、ガロウの戦いは暴風のようだ。理性を置き去りにしながらも、どこか「誰かに認めてほしい」という願いが滲む。サイタマの静けさとガロウの激情――二つの極が近づくほどに、物語は緊張の糸を張りつめていく。やがて訪れるであろう“頂上の衝突”を予感させる展開は、読者を圧倒的な期待で包み込む。
希望をつなぐ拳の行方
破壊の中にも希望がある――それを体現するのが、この22巻の魅力だ。ヒーロー協会が崩壊寸前に追い込まれながらも、誰かが誰かを守ろうとする意志が確かにある。命を懸けて立ち向かう姿に、読者は胸が熱くなる。たとえ勝算がなくても、戦う意味がある。そんな純粋な信念が、この巻全体を貫いている。
そして何より、サイタマという存在の重みが再び際立つ。彼の強さは、単に敵を倒すための力ではない。何もかもを失ってもなお、希望を見出せる“人間の強さ”そのものを象徴している。戦いの中に宿る静かな哲学が、ページの奥から伝わってくる。
読み終えたあと、心に残るのは興奮だけではない。激しい戦いの中に描かれる“人の在り方”が、深く響くのだ。 『ワンパンマン 22巻』――それはただのヒーロー漫画ではなく、理不尽な世界で、それでも生き抜こうとする魂の物語。次巻を待たずにはいられない、圧巻の一冊。




コメント