ダンダダン 7巻 (ジャンプコミックス)

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不穏な静けさの中に潜む、新たな怪異の影

オカルンとモモが暮らす日常は、いつも不思議とスリルが隣り合わせ。
6巻での激闘を経て、少しだけ平穏を取り戻したかに見えた彼らの日々――しかし、その安息はほんの束の間。7巻では、再び怪異の気配が忍び寄り、物語は息をのむような新章へ突入する。

静かに流れる時間の中、モモの家族や仲間たちとの絆が丁寧に描かれ、読者の心に柔らかな温かさを残す。しかしその裏で、何かがじわじわと狂い始めている。不可解な現象、見えない恐怖、そして新たに登場する“得体の知れない存在”。
モモとオカルン、それぞれの想いが交錯する中で、再び「見えない世界」との境界線が曖昧になっていく。穏やかな時間ほど壊れやすく、そして愛おしい――そんな感情を胸に刻みながら、物語は新たな怪異の幕開けを告げる。

新たな強敵、そして心を揺さぶる人間ドラマ

7巻の魅力は、怪異とのバトルだけではない。
本巻では「人間の弱さ」と「強さ」がこれまで以上に深く描かれている。モモが直面する“家族”というテーマ、オカルンの“想いを伝える勇気”――それぞれが、これまでの戦いとはまったく違う「心の試練」を迎えるのだ。

そして登場するのは、圧倒的な存在感を放つ新たな敵。
その存在は、ただの化け物ではなく、「人の心の奥底にある恐怖」を形にしたようなもの。見た目のインパクトだけでなく、精神を揺さぶるような不気味さと哀しさをまとい、読者の感情を複雑に掻き乱す。

そんな中、オカルンとモモの間に流れる関係性にも微妙な変化が生まれる。
バトルの最中に交わされる小さな言葉、ふとした瞬間の視線――そこに隠された“互いを想う気持ち”が、緊迫した展開の中でかすかな光のように輝く。怖さと優しさ、スリルとときめき。そのどれもが絶妙に交差して、ページをめくる手が止まらない。

怪異の裏に潜む「想い」と「記憶」

戦いが進むにつれ、怪異たちの背景に隠された“感情”が見え始める。
恐怖を与えるだけの存在ではなく、そこには「かつての想い」「叶わなかった願い」――そんな、人間にも通じる切なさが漂っている。ダンダダンという作品が他の怪奇バトルものと一線を画しているのは、まさにこの部分だ。

ただのホラーではなく、ただのラブコメでもない。
異形の存在たちが抱える心の闇と、登場人物たちがそれをどう受け止めていくか。その過程こそが、この巻の最も胸を打つ部分である。
戦う理由が「恐怖の克服」から「誰かの想いを守るため」に変わっていく――その変化が読者の心に響き、ダンダダンという物語の奥深さを改めて感じさせる。

また、霊的な要素や宇宙的存在とのつながりが少しずつ明らかになり、シリーズ全体のスケール感も一段と広がる。
オカルンとモモが巻き込まれていく“見えない世界の真実”に、ワクワクと不安が入り混じる。読者は次第に、「これは単なる怪異退治では終わらない」と直感するはず。

惹きつけられる余韻と、次巻への高鳴る期待

7巻のラストに近づくにつれ、物語はさらにスピードを上げていく。
心が痛むような瞬間、息をのむアクション、そしてモモとオカルンが見せる決意のまなざし。どの場面もドラマチックで、映像を見ているような臨場感に包まれる。

激しい戦いの後に訪れる、ほんの一瞬の静寂。
そこに描かれるのは、戦うことの意味、守りたいという願い、そして「大切な人がそばにいることの奇跡」。
この作品が持つ“人間らしさ”の根底が、7巻ではとくに強く表れている。

ページを閉じたあとも、余韻が心に残る。
次は何が起こるのか、彼らはどんな運命に立ち向かうのか――そう思わずにはいられない。
恐怖も笑いも愛しさも、すべてが渾然一体となって押し寄せる「ダンダダン」7巻。シリーズの中でも特に“感情のうねり”が大きいこの巻は、読み終えた瞬間、あなたの中に新しい熱を灯すはず。

ただのバトルでも、ただの恋でもない。
そこにあるのは、“人間の心が生む奇跡”の物語。
未知への恐怖さえも愛しく思えてくる――そんな不思議な体験が、この一冊にぎゅっと詰まっている。

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